「ん〜、ここんとこどーすっかなァ…」
「アラアラ、なかなか進まないのねェ…」
「俺ァデスクワーク嫌いなの知ってるだ狼牙!」


鳴呼、何て平和な日常。


ジャブラは何やら長官に泣きつかれたらしい。
うんうん唸りながら、書類をカrカリと記入していた。
その一生懸命さは見ていて可愛いと思えてしまうもので。
カリファはそれを傍で見ながら、時折間違いを訂正してやっていた。

「あら、そこ間違ってるわよ?」
「え?どこだ??」
「ふふ、ここよ」

指差す瞬間、ペンを持つジャブラの手にカリファのしなやかな指先が触れる。
これで他の海軍兵士ならば、その場で赤面するのだけれど。

「おう!サンキューな」

そうにこやかに笑う顔は幼気なくて、それを残念に思う自分の方が間違っているかもと思えるほど。
それでも、こうして他愛無い話をするだけでもカリファにとっては密かな楽しみだったのだ。



しかし、しかしである。
本日は邪魔者が二人。
しかも、興味ないポーズを装いながら、耳だけは全神経を集中させてこちらに向けている模様。

…全く、そんなの丸分かりだっていうのに

そのせいか、カリファはいつものように笑顔でジャブラと歓談しながらも、内心では憤りを感じつつあった。
何せ、いつもは一人でいることを好むルッチがわざわざ傍で本を読んでいるのも腹立たしかったし、カクがここでPCに触っていることすら気に入らなかった。

「あら、ここも違うわよ?」
「え…?」

また間違いを見つけて、カリファはさらにジャブラに身体を近づける。
それは、互いの身体が触れるか触れないかの絶妙な距離。
すると…。

「ん〜いい男女が近づきすぎじゃろ…」
「書類に集中しろ、馬鹿犬」

今まで無口だった二人が一気に口を開く。
全く、そんな無粋な真似しなくてもいいのに。


本当に…無礼者だわ


「馬鹿か、てめェら…カリファが気分悪くするだ狼牙」

しかし流石に年長者、ジャブラの態度は大人のままだった。
それもまた少しばかり面白くない。こんな極上の美女をいつまでも子ども扱いだなんて。

そこで、カリファは意趣返しに、ちょっとばかり悪戯をすることに決めた。


「ほら、お馬鹿さんたちは放っておいて、続き書いたら?」

完全に身体を密着させ、ペンを動かす手にその手をダイレクトに絡める。
それでもって、指先綺麗ね、などと指を絡ませ、舌で唇を潤すとにっこりと妖艶に笑う。
ジャブラは驚いてペンを取り落とし、照れ笑いしながらそれを拾って続きを書き始めた。

そんな一連の流れを、食い入るように見つめていたのが二対の瞳。
それでも無視しながら今度はジャブラの肩に手をかけると、これまた当たりの殺気が大きくなる。


ふふ……単純

それでいて、トドメとばかりに。


「あらルッチ、本進んでないわねェ…カクも、パソコンがフリーズしてるわよ?」

にっこり笑ってそうい言うと、弾かれたように反応して、各々が下の歩^-カーフェイスに戻っていく。
それを見ながら、ぎゃはは!変なヤツラだなァ、とジャブラふぁ笑うのもいつも同様。
そう、これで全てがいつも通りだ。

鳴呼、何て平和な日常。
胸中でそれだけ嘆くと、カリファは4人分の紅茶を入れに席を立った。

FIN


はい、こちらはミコル様から頂いたイラストです。
ダメっ子管理人くずのはに対してわざわざイラストを送って下さったんです♪
ジャブラが考えごとしながらな感じもさることながら、カリファ姐さんがすぐ背後にいる辺りが私のツボを突いておりますともっ
あんまり嬉しかったんで、ちょっとSSつけさせてもらいました。
雰囲気壊さなければいいんですが…。

ミコル様、素敵なイラストどうもありがとうございました〜っ