本当は起きてたりするんだけど。

困ってる顔が可愛いからね、ついしちゃうの、意地悪。

大人気ないとは……思うのよ、とりあえず。

 

 

大将の楽しみ

 

 

「失礼します」

………本当に、律儀ねぇ。

「えっと……大将?」

うん、確かに俺は大将だわ、間違いないし。

「………起きてます?」

いちいち確認取る?普通。

「ど……どうすりゃいいんだ…」

うん、そりゃ困るよね、俺起こさないと。

長官……今日中に判子貰って来いっていったんでしょ?

さて……どーする、ワンちゃん♪←楽しんでる

 

「起きてくださいって!」

ZZZ……」

アラ…いきなりそうやって揺さぶるわけね。

「大将!!仕事溜まってますって」

「くか〜…ZZZ……」

ん〜、可愛い仕草だけど…それじゃ起きないわね、残念賞。

「………」

ZZZ……」

ありゃ…もうギブ??

「かぷ…っ!」

「!!!?」

がばりと勢いよく起き上がる青キジ。

その勢いに驚いて、ジャブラは眼を剥いた。

 

「…いきなり激しいじゃない」

「………だって起きない大将が悪いじゃないですかっっ!

「それにしても起こすのに耳噛む、普通??」

「………流石に殴れませんから」

「痛かったんだけどね」

「………すみません」

 

本当は、さほど痛くなどなかった。

それよりむしろ、その仕草が可愛いとさえ思えたほど。

でもこうやって言われると…謝っちゃうのよね、ワンちゃんは。

……そんなんじゃ悪い人に苛められちゃうよ?こんな風に。

 

「んじゃ仕返ししていい?」

「え…っ!?」

「かぷ…」

「ひゃ…っっっ!!!」

「あらら、感じちゃった?」

「………違いますっ!!」

 

べりっと俺の身体を引き剥がすと、目の前に書類を突きつける。

 

「と…とにかく!判子下さい!!」

「………嫌」

「な……っ!!」

「だって、判あげたらすぐ帰っちゃうでしょ?」

「そりゃ…まぁ…」

「それじゃ寂しいじゃない」

「でも、これないと困るんですっ!」

「……どうしても?」

「どうしてもっっ!」

「んじゃキスして頂戴な」

「…は!?」

「キスしてくれたら判子あげるから」

「……子供みてェなこと…言わんでくださいよ…」

「んじゃいらないの?」

「………わかりました」

 

精一杯普通のフリして近づいてくる。

ま、緊張してガチガチなの隠してるのは可愛いじゃない。

キスされるのは好きだけど…自分からするの苦手よね。

 

「約束ですよ」

「もちろん」

 

ちゅ…

 

軽く啄ばむようにキスして逃げるように離れようとする体。

そう簡単に逃がしてあげないよ。

ぎゅっと抱き込むと、真っ赤になるところがいいじゃない。

 

「た…大将!」

「はいはい、じっとして」

 

片手で獲物を抱き込んだまま、書類にサインと判を打つ。

おまけとばかりにいままで溜めたスパンダムからの書類も片付けてやる。

 

「あ…」

「よし、終了」

「んじゃぁ…」

「そうね」

 

渡されるのを待ってるワンちゃんを尻目に、電伝虫を手に取る。

ジリジリジリ…

 

「!?」

「あ、もしもし俺だけど」

「あの…大将?」

「うん、至急ね、じゃよろしく」

 

ガチャン…

 

「って、ドコに電話かけてんスかぁぁっ!!」

「ん?すぐだと思うんだけどね」

 

トントン…

言うが早いか、すぐにノックの音が聞こえる。

入るように促すと、そこには長身の女性。

「失礼します」

「!?」

「アラ、早かったじゃない」

「至急だと申されましたので」

「うん、コレ全部ね、エニエスロビーまで持ってってくれないかしら」

「また…溜めたものですねぇ…」

「うん、至急なんだけどさぁ…」

「………」

「んじゃ、頼んでいい?」

「承知いたしました」

 

入ってきたときと同じスマートさで、凄い量の書類を持って退出していく。

腕に抱きこんだ彼について言及しないところも賢いと感心するほど。

ま、ここでは上官の命令は絶対なんだけどね…

 

「って、そりゃ俺の役目でしょうがぁあぁぁあっっ!」

「ん?あぁ、彼女優秀な副官だから大丈夫よ」

「違う!そんじゃ何のために俺が来たかわからんでしょう!!」

「ん?俺に会うためでしょ」

「違います!!」

「あらあら、冷たいじゃないの…」

 

そんなこと言われると…もっと苛めたくなるじゃない

 

「なら…俺のこと嫌い?」

「そ、そうは言って…」

「嫌いなんだ」

「いや、だから…」

「結構ショックよねぇ…」

「あの…」

「本気なのは俺だけ…」

 

「好きですっっ!!!」

 

人の言葉を遮って叫ばれる台詞。

叫んだ当の本人は、腕の中で赤面して俯く。

そんなにいい反応ばかりしてるから、こんなに気に入っちゃうのよ?

 

「…アイスエイジ」

「!?」

 

空いている片手で技を放てば、パキパキと凍りつくドア。

これで壊すか溶けるかしなければ、この扉は開かない。

 

「ちょ…っ!?何して…」

「あらあら、これじゃ出られないじゃない」

「ご自分でやったんでしょう!!」

「いいじゃない、たまには二人きりってのも」

「〜〜〜っ!」

 

抱き寄せると、ぎゅっとしがみ付いてくる腕。

相変わらず俯いたままだけど、それでも耳まで真っ赤。

普段なかなか甘えてくれないから、この瞬間はとても貴重。

 

驚いたり、怒ったり、甘えたり…

会う度にくるくる変わる表情に目が離せなくなる。

他にも取りこぼしがないかって思えちゃうのよね…

 

ちょっと強引だった気もするけど…ま、たまにはいいじゃない。

この間に、たっぷり堪能させてもらおうじゃないの。

 

 

もちろん、そんな顔は俺の前でしかダメだけどね

 

そんなことを思いながら、青キジは腕の中のジャブラの首筋をそっと口付けた。

 

FIN

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部下1「と、いう訳で書類を届けに参りました」(ニッコリ)

スパンダム「え゛…でもジャブラが…」(アイツが行ったんじゃぁ…)

部下1「諜報部員さんなら、しばらくお借りすると大将から連絡が」(書類どうぞ)

スパンダム「………職権乱用〜(泣)」(明日の任務の割り振りどぉしよぉ…)

部下1「まぁ…大将ですから」(ご愁傷様です)

スパンダム「……うぅ…」(またルッチに怒鳴られるよぉ…)

 

という訳で、和空キロ様のリク『ジャブラが可愛くて仕方ない大将でキジジャブ』でした。

こんな感じでリクに沿えてるんでしょうか?

…可愛くて仕方ないというか、可愛がりすぎというか…(汗)

えっと、返品OKですので、何かありましたら気軽にどうぞ〜★

ではでは、素敵なリクエスト、どうもありがとうございました(ぺこり)