長官に言われて、ジャブラの部屋まで届け物。

だからといって、こんなに浮き足立ってていいものだろうか。

オイラもまぁ、単純なんだなァと思っていたところ。

 

 

ちぃさな幸せ

 

 

「よォ、クマドリー」

「よよい!ジャ、ジャブラァ!?」

 

ノックをして扉を開けるや否や、その部屋の主が寄りかかってくる。

当然、それを慌てて支えるのは当然のことで…。

 

「…随分ァ…ごきげんだぁぁ、なぁ!」

「ん〜?おう!とっときの一本開けたかんなァ♪」

 

ちゃぷりっ

腰に括った酒瓶を上機嫌で揺らすと、中で液体が音を立てる。

成程、長官に渡された書類も、任務の報告書の直しだ。

今回は結構な長さ潜入していたようで、ようやく終わって羽が伸ばせるとでもいったところなのだろうか。

 

「そりゃぁぁぁぁーよかったぁぁ!」

「何他人事みてェなこと言ってんだっ!てめェも飲むに決まってんだ狼牙っ!!」

 

そのままネクタイを引っ張られて、部屋の中へと引きずりこまれた。

 

 

 

「ま、呑めって!!」

「うぉうっ!?」

 

どかり、と芝生の上に腰を下ろすように促される…というより引き下ろされた、が正しいのだろう。

室内なのに芝生の敷かれた部屋は、いつ来ても不思議なもの。

とはいえ、部屋の主の性格と、この昼しかない島の特性を考えれば妙に納得できる風体だ。

座るや否や、徳利を渡され、ぎりぎりまで注がれる酒。

慌ててそれを零してしまわないよう書類を回避すると、ジャブラは不機嫌そうに睨んでくる。

 

「何だよ、ノリ悪ィな」

「…よよい!そうはぁいってもぉぉ、これぁ長官から渡された仕事の書類だぁ」

「……後で片すから、その辺放っとけ」

「…いいのかぁ??」

「どうせ大した訂正じゃねェっての」

 

ぎゃはは、と笑い飛ばしながらしきりに酒を勧めてくる。

どうやら相当出来上がっているらしい。

こうなったジャブラにはもう何を言っても無駄だということは熟知している。

書類を汚さないように上着を脱いでその上に置くと、ジャブラの勧める杯を取った。

 

「よよ!?こりゃぁ旨いっっ!!」

「だろ?」

 

だからとっときの1本だっての、と豪快に笑って、ぐいぐいと自身も杯を飲み干す。

成程、確かに味は極上の吟醸。舌触りも一級品だろう。

 

「オイラぁ、こんな旨い酒、初めて飲んだぁぁ!」

「気に入ったか?」

「よよい!もちろん!!」

 

それから、互いに酌をし合って瓶の中身をどんどんと減らしていった。

 

「今度ぁ、オイラが旨い酒をご馳走しねぇとぉぉ…」

「あ゛ぁ!?んなもん気にすんな」

 

下らないと吐き捨てて、あっさりと押し倒してくるジャブラ。

体格差を考えると、そう容易くできることではない気がするのだが。

そうして、クマドリの腹の上まで、よじよじと昇ってネクタイを掴む。

 

「でもよ…」

「酒の良し悪しが分かる奴なんざ、そういねェかんな…オマエとじゃなきゃ、こんな呑まねェって!」

「!」

 

ぐいっとそのまま顔を引き付けられて。

べろりと唇を舐め取られる。

 

「ぎゃはは!俺と同じ味だな、オイ!」

「そりゃぁ、そうだ」

「俺ァオマエとこうして呑むの好きだぜ」

 

満足したのか、ネクタイを離すと、今度は抱き枕でも抱きしめるかのように抱きついてくる。

狼よりも懐っこいような気がしつつ頭を撫でてやると、珍しくジャブラがじゃれついてくる。

このパターンは、決まっている。

 

「よよい…ジャブラ?」

「………」

 

呼びかけても返事はなく、次に聞こえてくるのはすやすやと安らかな寝息。

酒を楽しんで、バカ騒ぎした後のお決まりだった。

こうして、クマドリのカラダをベット代わりにしながら満足げに眠ってしまう。

こんなにも無防備なのは、この時を除いて他にはない。

そして、それを許されるということにはクマドリへの信頼の深さが窺える。

 

それが嬉しいなんて、何と馬鹿げた話だろうか。

 

 

ふと、隣を見やれば、脱いだままの自分の上着。

ジャブラを起こさないように起用に髪の毛を動かして、上着を彼の上に掛けてやる。

そうして、その下に出てきたものは見ないフリ。

だって仕方がない。

ジャブラはこの状態だし、クマドリはジャブラを起こしたくはない。

 

よよぃ、ごめんなぁ…長官

 

仕事よりも、今自分の上にある心地よい重みを優先することに決めて。

クマドリは胸中で長官に詫びを入れながら、そのままジャブラと一緒にまったりとした眠りを享受することに決めた。

 

FIN

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ちなみに、その頃の執務室。

 

カリファ「ちょーうーかーんー??」(にっこり)

スパンダム「カ、カリファ??」(滝汗)

カリファ「一体いつまで書類を待たせる気かしら??」(さらににっこり)

スパンダム「いや、お前…眼ェ笑ってねェ…」(さらに滝汗)

カリファ「………そんなに怒らせたいんですか?」(にっこりと鞭を撓らせる)

スパンダム「い、いや!!違うからっ!俺が悪いんじゃなくてジャブラが…」(じりじり後退)

カリファ「セクハラです」(眼鏡きらーん☆)

スパンダム「く、口答えしたからっ!?」(がぼーん!とショック受ける)

 

ブルーノ「大変だな、長官も」(溜め息)

カク「こうすれば、しばらくは仕事も溜まらんじゃろ」(興味ないね、モーション)

 

と、いう訳でひよどり様リクエスト『クマジャブほのぼの系』でした。

クマジャブはこういう感じでジャブラが気を張らずにいられる相手だと思います。

一緒に酒呑む度にしょっちゅうベット代わりにされてるといい!(親指ブッ立て!)←くずのは的萌シチュ

とにかくほのぼのということで、まったり感を前面に押し出してみました。

さて、こんな感じの二人になりましたが、果たしてリクに添えてるのか不安であります…。

もちろん、いつものようにクーリングオフ導入してますので(にこ)←根本的な解決ではない

コメント等も年中無休で受け付けておりますー♪

それではひよどり様、素敵なリクエストありがとうございました(ぺこり)