う゛〜、マジで恥ずかしいィィィィィ!

目が覚めて見れば、自分のものではないベッドに馴染みない天井。

起き上がろうとすれば、鈍い痛みが身体に走って…。

否応なしに、思い出してしまうのだ…昨夜の狂態を。

 

 

ピロートーク

 

 

服は周りに散ったままだったので、とりあえずシーツを巻きつけてみるものの…。

ふわり…

自分のものではない体香が鼻腔をくすぐる。

出来るだけ考えまいとしていたことをフラッシュバックさせる、匂い。

 

“ちょ…オマエ…少しは加減をっっん…ぁ…っ”

“……加減?冗談だろう…オマエ相手にそんな真似できねェな”

まるで骨まで喰らい尽くされているかのような激しさに、眩暈すら感じた。

 

って、何思い出してんだよ、俺っっ!?

 

一人で思い出して派手に赤面していれば世話はない。

ぶるぶるっと頭を振って、アレは夢だと思い込んでしまおうとするのだが…。

 

「…ジャブラ?」

「うにょぉあ…っ!?」

「……何語だ、ソレは」

「いいいいいい、いきなり話かけんなっ!!」

「何を一人で百面相してるんだ?」

「べ、別にそんなことしてねェ!!」

 

いつの間にか、この部屋の主が隣に戻ってきていて、努力も無駄になる。

本当に、何でコイツとあんなことしたんだろう…

コイツはコイツであんな激しいんだもんな…って、だから思い出すな、俺っっ!

 

「しかし……身体は大丈夫か?」

「は?」

「昨夜はかなり飛ばしたからな…目が覚めないかと思った」

「え?」

「しかし、あんなに積極的に銜えこまれてはな、止まれるはずがない」

「う゛?」

「しかし、オマエもヨかったんだろう?あんな乱れまく……んぐ!?」

「だ、だ、だ、だ、黙れェェェェェ…っ!!」

 

朝っぱらからトンデモない台詞を連発する馬鹿猫の口を慌てて塞ぐ。

んっとに、できるだけ思い出さないようにしてるってのに!!

 

「そんなに照れずともいいだろ」

「うぎゃ…手ェ舐めんなっ!!」

「もう少し艶めかしい台詞を希望したいのだが…」

「言うか、バカ!!」

「………残念だ」

「残念がるな!」

 

ボカリと傍にあった枕で殴りつけてやるのだけれど…。

「痛…っ!?」

腰の辺りに鈍い痛みが再び生じる。

「無茶をするな…」

「う、う、う、う、う、うるさい!」

 

居たたまれない、と布団の中に逃亡を図る。

だって、本気で恥ずかしいんだ…こういう雰囲気。

 

「おい、ジャブラ」

「………」

「…出て来い」

「嫌だ」

「……情事の後なんだ、ピロートークくらい愉しませろ」

「……うるせェ」

「………」

「………」

「……そんなに後悔するほど嫌だったのか?」

「………」

「……無言は肯定と受け取るぞ?」

「………」

 

それでも何も言えない俺を見て、溜め息を吐くルッチ。

布団の上からぽんと手を置かれて、そのまま離れていく気配。

「〜〜〜っ!」

がし…っ!

手だけ布団の外に出し、がしっとルッチの腕を捕まえる。

「っ!?」

「い……ゃじゃねェから…困ってんだよ……」

「!」

 

あ〜、もう!絶対俺、顔赤いな…

今は布団に潜ったままだから平気なのだけど…。

 

ばさぁ…っ!!

「!?」

「やはり布団は邪魔だな」

「何すんだよ、バカ!!」

「こんなものがあっては顔が見えない」

「見んな!!アホ!」

「何故だ?嫌ではなかったのだろう?」

「〜〜〜っ!」

 

言うんじゃなかった

耳まであっという間に朱に染まってしまう。

引き剥がされた布団を握り締めながら、俯くジャブラ。

こんな顔など見られたくはなかった。

何より…どんな顔してルッチと向き合ったらいいか、分からないのだ。

 

 

 

「馬鹿犬が……っ」

「何だと…って、えっ!?」

 

あっという間に押し倒されて、ジャブラはルッチの身体の下。

 

「何すんだよ!!」

「オマエが悪い」

「は?」

「あんな可愛い顔をするから…我慢がきかなくなった」

「何だよ、ソレ!!」

「もう一戦付き合え」

「え゛…っ!?」

 

そんなことを言いながら、明確な意思を持ってジャブラの身体に這わされる手。

マズイ、このままだと本気でもう一戦始まってしまう。

 

「待て待て待て!」

「……何だ?」

 

慌ててルッチの頭を引き剥がすと、不機嫌そうな声。

とはいえ、ここで退く訳にはいかないのだ。

 

「おまえ…ピロートークを愉しむっつてただ狼牙!」

「あぁ……先刻まではな」

「な…っ!」

「今はオマエを喰うことしか考えてないな」

「………」

 

その目つきは、獲物を狙う肉食獣のソレ。

逃げられないようにがっちりと抱き込んだ腕はもの凄い力で。

 

……今からもう一戦というのは、コイツの中ではもう確定らしい。

 

「このワガママ猫が…ァっ!」

「褒め言葉と受け取ろう」

「褒めてねェ!!」

 

こうなったら、抵抗しても無駄というもの。

自分がこうと決めたら、曲げる気はないのだ、目の前のバカは。

 

 

時計を見ると、会議まではまだ時間がある。

 

「オマエ……絶対会議までに終われよ」

 

仕方ない、と溜め息を吐きつつ、しっかりと釘を刺しておく。

任せろと言うものの、信用できたものではない。

 

そう、結局折れるのは自分の方なのだ。

 

ジャブラは、深く溜め息を吐きながら、悔し紛れに唇に噛み付いた。

肉厚のある、目の前の男の唇に。

 

 

それを合図に、ルッチはジャブラの肩口に顔を埋めた。

 

 

FIN

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ジャブラ「このバカ!!」(怒りMAX

ルッチ「何だ、いきなり…」(小首かしげ)

ジャブラ「結局会議出れなかったじゃねェかァ!!」(後頭部をハンマー殴打)

ルッチ「……オマエが悪い」(後頭部撫で撫で)

ジャブラ「何だと…っ!?」(この期に及んで…っ)

ルッチ「朝っぱらから盛大に誘うから……」(フェロモン全開でな)

ジャブラ「消えろ、このドアホ猫ォォォォォァ……っ!!!!」(渾身のアッパーカット!!)

 

お空の星になる、ロブ・ルッチ(笑)

…あ、会議はカリファ姐さんがフォローしてくれたみたいですよ、ジャブラさん。

 

という訳で、花南様のリク『ルチジャブの甘々』でした。

珍しくいちゃいちゃできてる感じはするのですが…どうでしょう?

何せ普段が普段なので…甘々になってるか不安ですっっ

例によって返品OKですので、コメントなど何かありましたら気軽にどうぞ〜★

楽しいリクエスト、どうもありがとうございました(ぺこり)