いきなり、自分の体が大きな影に包まれた。

「あらあら何してるの、こんなトコで」

逆光を浴びていたけど、その声は聞き覚えのあるもので。

 

 

太陽の下

 

 

「熱い゛…っ!」

熱くて熱くてたまらない。

長官が、いつものように駄々をこねはじめた。

いくら六式使いが集まっても、天候なんてどうしようもない。

とにかく、巻き込まれたら負けだとばかりに沈黙する俺たち。

 

「アイス食おう!」

 

その沈黙を破ったのは、長官のさも名案を思いついたという声だった。

 

 

 

結局、長官はネロをパシリにしてアイスを買いに行かせた。

まぁ、これで静かになるなら何の問題もない。

せいぜい、おとなしく食べててくれれば…

 

「オマエらも食えよ!」

 

…このヒトは一人で何かしてるってことができないのか?

 

 

結局、今日はメンバー全員揃っちまってたもんだから、強制イベントとなった。

渡されたのは、バニラの棒アイス。

甘いものの嫌いなルッチでさえも、強制的に食わされていた。

…苦虫を噛みつぶしたような顔で。

甘いアイスとその顔のコントラストが面白くて、内心ザマミロと思う。

俺はというと、甘いものは好きな方。

とっとと食って、仕事を片付けちまおうと白い物体を食べ始めた。

 

ギン…ッ

 

その瞬間、視線という視線が自分に向けられているような感覚に陥った。

何だか、部屋の温度も明らかに上がっている。

 

何だ?

 

もごもごとアイスを銜えて周りを見ると、みんな慌てたように視線を逸らす。

長官やクマドリは顔が真っ赤だし、カクのやつは鼻を押さえたまま。

ルッチに至っては、恐ろしいものを見たかのように俯いている。

 

へーへー、どーせ俺にゃこんなもん似合いわねェよ!

 

ヒゲ面の成人男子にこんな乙女ちっくな食い物似合うなんて思ってない。

それでも、その妙な雰囲気の生ぬるい室中に居たくなかった。

 

「俺ァ、ちょっと出るわ」

 

好奇の視線に耐えられなくなり、俺はちょっと外の空気を吸うことにした。

 

 

 

中庭に出ると、太陽が燦々と照りつけている。

そのせいか、アイスも程よく溶けて食いやすい。

確かに暑いのだけれど、こうして食べていると涼が取れる。

何か、『夏だなぁ』って実感するよな。

 

「ん?」

 

急に今まで明るかった自分の周りが影に包まれる。

……大きな…人影に。

 

「あらあら何してるの、こんなトコで」

「大将…」

 

普段からデカい人だが、影になると一段と大きい。

 

「ちょっと…休憩を」

「ふ〜ん…何か、美味しそうなモノ食べてんのね」

「…長官とこ行けば、喜んで出してくれますよ」

「ん〜、ま、俺はいいや。別に暑くないし」

「………」

 

そっか、この人、氷結人間だもんな。

 

「それに、ワンちゃんほど似合わないよ、ソレ」

「はぁっ!?」

 

ボト…

余りに虚を突かれたためか、溶けかけのアイスの塊が…落ちた。

…服の中に。

 

「〜〜っ!!!!?」

 

首筋から鎖骨を滑って腹部へと落ちていく。

うう…マジで気持ち悪ィ

 

「んだよ、もうっ!」

「あぁ、そう動きなさんな」

 

体を伝う冷たいソレに身を捩らせると、青キジの大きな手に止められる。

 

「え…」

「取ったげるから」

 

しゅるりと器用にネクタイを解かれる。

って、大将に何させる気だ、俺!?

 

「零したもん拭うぐらい自分で…」

 

自分できる。

そう言おうとした矢先だ。

 

ペロリ…ッ

 

「〜〜っ!!!??」

「ありゃ…こーりゃ甘いわ」

 

って、ちょっと待て。

俺…今ナニされた?????

 

「たまにゃいいね…暑い日に、冷たいものってのも」

 

零れたアイスはこの人の唇で拭われた訳で。

ぺろりと舌舐めずりされると、自分の肌に触れた思いのほか熱い舌の感触が思い出される。

 

「〜〜っ!」

「ごちそうさま」

 

そう言って、自分を覆っていた影が消える。

自分はまた、太陽の下。

だからだ…こんなに体が熱を帯びるのは。

 

 

せっかくアイスで涼やかになった体温が、まるで燃え上がるかのように沸騰していた。

 

 

 

 

じわじわ熱い、太陽の下での出来事。

 

FIN

_ _ _ _ _ _ _

と、言うわけで青キジ(クザン)萌え補完計画第1弾。

別名、大将のつまみ食い(爆笑)

いや〜、まさか夜の大王を表に置ける日が来るなんて!!

 

ルッチ「ちょっと待った」

カク「意義ありじゃ」

スパンダム「ズルイ!!」

 

ジャブラ「…何でそんなに怒ってんだ?3人とも」

 

3人「「「アイスプレイやりたかった!!」」」(机バンバン×3)

 

ジャブラ「………は?」(何、ソレ?)

 

ルッチ「ジャブラの体を伝う白い液体を舐めとるなんて…羨ましい」(ク…ッと拳骨握り)

カク「全くじゃ…まぁ、いい絵面は見せてもらったけどの〜」(ジャブラさんのアイス銜えシーンのこと)

スパンダム「確かに…アレはときめいた!!」(バニラアイスは正解だった!と机バンバン)←子供

 

ジャブラ「………」(コイツら、まとめて殺してェ…)

 

青キジ「まぁまぁ、そう揉めなさんな」(飄々と)

3人「「「………」」」(ジト目)

ジャブラ「大将…確か忙しいって…」(後ろ後ずさり)

青キジ「ん?ま、適度にね」(ひょいっとジャブラを肩に担ぐ)

3人「「「!!!」」」

ジャブラ「え…ちょっ!」(ジタバタ悪あがき)

青キジ「俺、表に合わねェし、裏行くわ…」(だから、この子ちょーだい♪)

ジャブラ「ちょっと待てェェェ!!」(イヤイヤ)

青キジ「はい、暴れない、暴れない」(あっさり持ち帰り)

 

 

スパンダム「…俺も…もっと権力欲しい…」(ぐすん、ジャブラとられた)

カク「…あの人には…逆らえんでの〜」(ムカつくので、指銃で机を壊してみた)

ルッチ「〜〜〜っ!!」(あんまりムカつくので、嵐脚で塔を粉砕してみた)

 

こんな感じでエニエス・ロビーは修理費が嵩むらしいよ。

 

カリファ「全く、経理のことも考えなさいな」(女王様、ご立腹)