「おい」

「…何だよ、馬鹿猫」

「貴様、今すぐ俺と結婚しろ」

「………は?」

突然のその台詞に、俺の頭は完全にフリーズした。

今日は、エイプリルフールじゃねェ気がすんだけど…

 

 

パニック★ぱにっく@

 

 

この爆弾発言の原因は、スパンダムとの会話からだった。

 

「お久しぶりで、長官」

「いやァ、ルッチ!よく返った!!」

 

いつもの通り、完璧な仕事をこなしてエニエスへと帰ってきた男。

それは、ここの一番の諜報部員、ロブ・ルッチその人であった。

 

「しっかし、オマエ本当に仕事完璧だなァ」

「それくらい、当然かと」

「……そ、そうか」

 

その有無を言わせない口調に、上官であるスパンダムはいつも及び腰である。

しかし、これでもう15件も連続で長期任務。

スパンダムとしては、ルッチに労いをかけたいと思っていたところだった。

 

「では、失礼します」

「おう、ルッチ!」

「…まだ、何か?」

「そー怖い顔すんなって!あのよォ、何か希望ねェ?」

「…は?」

「いや、お前に長期任務ばっか宛ててっからよォ…多少のワガママきいてやるぜ?」

「……ほう」

「いや、でも1ヶ月休暇とか止めてな、困っから」

「………休み以外なら、何でもいいと?」

「まぁ、そーだな」

「…“人間”でも?」

「!」

 

にやり、と笑うルッチを見て、スパンダムは直感的に理解した。

ああ、そっか。ルッチもそろそろ年頃だしな…。

カリファとの結婚を本気で考えてんのか。

そう、二人は同期で、幼い頃からずっと傍にいるのが当然のような関係。

いつか、こんな日が来るような気がしていた。

ちょっと寂しいような、切ないような気分だけれども、不思議と嫌な気はしない。

 

「おう!何でも構わねェぞ!」

 

この後、スパンダムはこの台詞を死ぬほど後悔するのだが。

 

「では、ジャブラを俺にくれませんか?」

 

そう告げたルッチの両目は本気だった。

 

「おうっ…ぃ?今何て?」

「ジャブラが欲しいと言ったんです」

「え゛ェェェェェェェェ…っ!?」

「…何でもいいと仰ったでしょう」

「いや、まぁ…」

「じゃぁ、アレを俺の伴侶にしたい」

「う゛ォォォォォォ…っ!?」

「…何か問題でも?」

「え、えーと…」

 

問題は山積みのような気がするのだが、ルッチの目は、NOと言わせてくれそうもない。

かといって、ジャブラのことを自分があっさりくれてやるとは言えないだろう。

そもそも、そんなこと勝手に決めたら、絶対殺される。(ジャブラに)

かといって、ここでダメ出ししたら、ルッチに殺されちまうだろうし…。

 

「俺ァ構わねーけどよォ…」

「?何か??」

「んなら、ジャブラにプロポーズしてからだろ、順番としては」

 

結局、スパンダムは保身に走ることにした。

 

「ぷ、ぷろぽぉず?」

「おう!そりゃ伴侶にしてェってなら、本人にきっちり告白して、OKもらうのが普通だぞ」

「そ、それもそうですね」

「だからよォ、俺ァ構わねェから、ジャブラ説得して来いや」

「分かりました」

 

一礼をして踵を返すと、ルッチは一目散にジャブラの元へと向かったのだった。

 

 

で、冒頭へと戻る。

 

「何をとち狂っとるんだ、てめェはっっ!」

「とち狂ってなどいない…本気だ」

「尚悪ィわ!!大体、何で俺なんだよっ!」

「…プロポーズは、普通好きな相手にするのでは?」

「オマエ、俺嫌いだろ?」

「…鈍いな」

「聡くありたくねェよ、んなもん」

「とにかく、俺はオマエと結婚する」

「だ・か・ら!そんなん無理だっての!」

「何故だ?」

「そんなん、普通じゃねェし…」

「長官に“ジャブラを下さい”と言ったら、ジャブラを説得できれば嫁にしていいと…」

「阿呆かっ!」

「俺は将来有望だぞ?」

「そーゆー問題か!」

「とにかく、嫌だとは言わせん…」

 

瞬時に殺気立ち、指銃の構えを取るルッチ。

いや、オマエそりゃ卑怯だろ

 

「で、そーやって力ずくでモノにするって??」

「………」

「んなやり方しか知らねェのか?」

「……これ以外に何がある」

「いっとくが、その方法じゃ俺じゃなくても断られるぜ」

 

そう言った瞬間、ルッチの殺気が引いていく。

 

「頭冷やせ、馬鹿」

 

そう言って、ジャブラが自分の腕からすり抜けていっても、ルッチには追うことができなかった。

 

 

 

To bo continued

 

_ _ _ _ _ _ _ _

 

性懲りもなく、また連載始めちゃったよ、この女!!

という訳で、ジャブラさんをお嫁さんにしよう企画デス。

いや、最近友人に借りたBLゲームプレイしたら、ちょっとこんな感じのオトす系小説書きたくなりました。

とりあえず、表で出発しますが、いつ裏モードの神が降りるか、くずのはにも分からなかったり(爆)

コンセプトは、『あたふたするルッチさんを見よう!』です!よろしければお付き合いください。