「で、キス上手くなりてェんだって?ジャブラ」

「……は?」

 

何が「で」なのか分からない。

自分は海軍本部に資料を持ってきただけであって、そんな話はしていなかったはず。

 

「んー、美人の頼みじゃ断れなくてね」

「いや、大将…それは断ってくださいって」

「とりあえず、実地でいっとく?」

「いや、それは絶対困るんで、とりあえず抵抗しますけど」

「んじゃ擬似練習ね」

「んぐ…ぅっ!?」

 

舌の上に、青キジの筋張った指先の感触。

噛んじゃダメだよ、と笑いながら、指先で舌を撫でて歯列をなぞる。

 

「こうして動かすの」

「ん…ふぁ…」

「ほら…同じように、ね」

 

器用な指先の手本を真似て、ジャブラはその指先に舌を絡めた。

なるほど、なかなか難しい。

それでも、青キジのリードがいいのか、最初はおずおずと動くだけだった舌先が指先を絡め捕るようにして動く。

突っ込まれたときと同じくらい唐突に指を引き抜かれて、倒れそうになるジャブラを支えながら、青キジは笑う。

 

「ん、いいんじゃない」

「へ…?」

「あー、でもその顔はよくねェな、俺がつまみ食いしたくなっちゃうから」

「!!!!」

「そうそう、そうやって警戒してなさい」

 

ぽんぽん、とジャブラの頭を撫でながら、ルッチを見返せるといいね、とまた青キジは笑った。

 

 

 

「…目ェつぶれ」

「………」

 

意を決してルッチの顔に向き合うと、その顔を両手で固定して唇を寄せる。

そうして、舌で唇をなぞりながら、しだいに開けられる口内に舌を入れた。

相手の舌先を吸い上げ、舌先で愛撫しながら、奥へと侵入していく。

歯列をなぞり、舌の根元まで絡め捕るようにしながら、濃厚な口付けを一つ。

 

これならルッチも文句はないはず…

 

「…っ!?」

 

くちゅ…っ

いきなり頭を引き剥がされて、互いの間に銀糸を引いた。

何だ、と思うよりも前に、そのまま額を押されて、ルッチ愛用の革張りのソファに倒れこんだ。

 

「て、め…何すんだよ!!」

「それはコッチの台詞だ、野良犬のくせして、人のこと散々煽りやがって…」

「…は?」

「どこでそんな技覚えたのかも含めて、じっくり聴くかねェとな」

「ちょ…おま…待て、そ…」

「しばらくまともに歩けねェ躯にしてやる」

 

完全にルッチの目は据わっていて、その顔は捕食者そのもの。

焦って逃げ遅れたジャブラに勝ち目はないようで…。

 

「ちょっとまてェェェェェェ…っ!!!」

あまりの理不尽さに上がった絶叫が辺りに響き渡った。

 

FIN

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「……う、動けねェ」(枕はぐはぐ)

「そりゃ3日は立てなくするつもりでしたからな」(しれっと)

「表で何考えてんだ」(ジト目)

「表だから自重しただろう?」(ニヤリ)

 

「………鬼か、オマエ」(枕なげなげ)

「思ったより元気だな、もう1ラウンドいくか?」(シーツめくりめくり)

「ぎゃぁぁぁ、無理!絶対無理!!」(シーツに包まり芋虫状態)

「……」(あんまり可愛い反応なので、シーツごとぎゅうっ)

「っ!?」(耳まで真っ赤)

 

 

「なーんか勝手にやってろバカップルって感じ?」(眼鏡ふきふき)

「そーじゃのー」(粗茶ずずずっっと)

 

仕事忙しくて完全にROMっ子でしたが、ひっさびさにアップしました。

なにせ6月は我等がルッチ兄さんの誕生月!

とりあえず1本はかけてよかった。

べったべたに甘いですが、ほんのりエロス風味に仕立てました。

やっぱルチジャブ楽しい♪